『銀のロバ』ソーニャ・ハートネット~読書ブログ25

オーストラリア 2004年

難易度 ★(児童文学の上、訳もよくて、読みやすいです)




鬼才の癒し系小説

ハートネットは鬼才だと思います。独特な世界観、凝った構成、不思議な空気感の文章、深層意識にまで入り込む人物描写、高い完成度で、唯一無二の作家さん。


ただし、暗くて、救いがない作品が多いんですよね。大人でもメンタルが弱っているときにはやられますので、ご注意。カテゴリは児童文学だけど、これ子どもに読ませちゃトラウマになるだろ……といつも思います(笑) (『真夜中の動物園』とか、まったくおすすめできない)でもわたしは好きなので、ときどき無性に読みたくなりますけど。


そんな中、唯一子どもにも大人にもおすすめしたいのがこの『銀のロバ』です。他の作品に比べて、少し若い読者向けに書かれています。だからかな、他の作品はやや難解なのですが、この作品はわかりやすい。そしてやさしく、メンタルが弱っているときでも読める、唯一の作品かも?と思います(笑) どん詰まりな話ばかりじゃなくて、こういう話ももっと書いて欲しいんだけどなあ。


舞台は第一次世界大戦時のフランス、田舎町。幼い姉妹マルセルとココは、森の中で脱走兵のチューイさん(中尉さん)と出会います。チューイさんは、世界に失望して目が見えなくなっており、故郷のイギリスに帰りたがっているのでした。マルセルとココはなんとかチューイさんを助けようとするのですが……というのが、本筋。


ここにチューイさんが語る、ロバにまつわる挿話が入ってくるという構成です。全部で四本あるのですが、それぞれがやさしく、せつない話なんですよ~! この挿話が物語に深みを与えていると思います。


好きな作家さんだから、いろいろ書きたいと思ったけど、いざ書き始めてみると、今まででいちばん書きにくかった……。作品についていけず、切り口がうまくつかめないです。すみません。


★ 人気ブログランキングに参加しています。面白かったら、クリックをお願いしますm(__)m

東原恵実's 小説あれこれ

『裏切りへの贈り物』『懺悔の城』(講談社X文庫刊)の続編、その他の作品情報、執筆状況、 読書ブログ「海外小説を読もう!」をご紹介しています。

0コメント

  • 1000 / 1000