『高慢と偏見』ジェーン・オースティン~読書ブログ24

イギリス 1796年(日本は江戸時代、フランスではナポレオンが活躍している頃)

難易度 ★★(長いけど、読みやすい新訳も出てます!)



超ロングセラーのドラマチック恋愛小説

ちょっとおカタイタイトルの古典文学だけど、現在、岩波、河出、光文、新潮、ちくま、中公と、六社から出版されているんですよ! 発表から二百年たって、この人気ぶりってどうよ? ひとえに女子受けするドラマチック恋愛小説のせいじゃないかと思うんですけどね~(いやまあ、それだけじゃないか)。 


ちなみにわたしは光文社の古典新訳文庫版を読んだけど、古典を感じさせない軽さがあって、読みやすかったです。どんなに面白い作品でも、読みにくいと、挫折しますもんね。わかりやすいのってホントありがたいわ。


さて、舞台は一七〇〇年代のイギリスの田舎町。そこへ超大金持ちでイケメンのダーシー様が引っ越してきて、町は大騒ぎ! 五人の若い独身娘がいるベネット家では、母親が娘たちの玉の輿を狙って興奮状態! 物語は、娘以上にがっつくお母さんと、うちの娘たちは平凡だからね~と冷めているお父さんの会話から始まります。まったくかみ合わない夫婦の会話が、のっけから笑いとってます。


当時のイギリスは、長男のみがすべての財産を相続するという制度がありました(『ダウントン・アビー』を観た方はご存知と思います)。だから娘しかいないベネット家では、娘たちの嫁ぎ先も大問題なら、誰にわが家の財産を相続させるかも大問題。お母さんが大騒ぎするのも無理のない話なんですね。でもこのお母さんは騒ぎすぎだけどね。


そしてこのダーシー様のハートを射止めるのが、ベネット家の次女エリザベス。彼女はそれほど美人ってわけじゃないんだけど、頭がいいんですね。でも頭でいろいろ考えすぎちゃって、ダーシー様を高慢な男!と突っぱねます。そんなエリザベスこそ偏見のかたまりってわけ。さあタイトルが出揃ったところで、二人に未来はあるのでしょうか?


強力なライバルの出現、ダーシーを陥れる罠、家族の問題など、話は盛って盛って盛られています。とにかくサービス精神旺盛で、飽きさせることはありません。さらに二人の気持ちの変化にも注目です。


鋭い人間観察眼

オースティンは人間観察眼に定評のある作家ですが、この作品を書いたのは二十歳の頃。わたしは二十歳の娘さんらしいキャラづくりだなあと思うところもあれば、二十歳でこんな人物を書けるのか?とびっくりもしました。


ダーシーのキャラ設定は二十歳の娘さんらしいと思います。大金持ち、イケメン、ツンデレと三拍子揃っているんだもん(笑) そんな王子様キャラの彼が、身分が下で、美人でもなくはねっ返りのエリザベスに夢中になるんだから、もう女子の願望丸出しっていうか、胸キュンっていうか!(男子からはこんな男いねーよ!と言われそうだけど)


さらにダーシーの親友ビングリーはそれなり金持ち、イケメン、ちょいチャラ男(笑)で、二人が仲良くしていると、絵になるのよ~! 当時の女子も「ダーシー様とビングリー様、もうどっちも選べないっ!」「エリザベスとの恋はどうなるの~?」と身もだえしながら読んでいたはず。現代の少女マンガとほぼ同じ設定ですからね。女子って二百年たっても進化しないんだなあと思いました。きっとこれから二百年後も読まれていることと思います。


一方、脇役たちは個性的で、こんな人いるいる~って感じです。世界は自分中心に回っているかのようなベネット夫人(どこの家のお母さんもそんなもんだろう)、モテていると勘違いしているブ男コリンズ(他人の話を聞かない男って、イライラするのよね)、身分が高いってだけですべての人をバカだと見下すレディ・キャサリン(大韓航空一族?)ってな具合です。脇役たちのリアルさ、しかもどこかユーモラスに書いているところは、とても二十歳の娘さんの視点とは思えません。


オースティンがもし現代の日本に生まれていたとしても、人気作家か脚本家になっていただろうと思います。そのくらい時間や文化を越えたストーリーテラーです。古典文学は難しそうと思っている方にもおすすめ! ただし女子限定。


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