『スノードーム』アレックス・シアラー~読書ブログ20

イギリス 2003年

難易度★(とても読みやすいです!)

YA小説

久しぶりの児童文学、YA小説というジャンルの作品です。YAはヤングアダルトの略で、「若い大人」。日本で言ったら、高校生から大学生向けの小説ということになるのかな。このジャンルは掘り出し物がいっぱい! おすすめです!


まず文章が読みやすくていいです。読みにくいと、たとえ面白いストーリーだったとしても、なかなか進まなくて、挫折しますもんね。特にこのシアラーという作家さんの文章は、読者の関心を引きつけるのがうまくて、とっつきやすい文章だと思います。


そしてYA小説は深い内容の作品が多いと思います。生命、人生、愛、自由、正義といったテーマを取り上げて、ただ面白いっていうだけじゃなく、意味のあることが書かれている。大人のわたしが読んでもうーんと唸ってしまうんだけど…というか、大人になると、こういうことは考えなくなるのかもしれないなあ…日々の生活に追われているから。仕事とか家事とか支払いとか…おばさんは大変なのよ。愛だの自由だのなんて、考えている暇はないのよ。そんな大人にも『スノードーム』、おすすめです。



小男エックマンの物語

ある日、若い科学者クリストファーが、一本の小説とスノードームを残して、姿を消します。スノードームというのは、小さなドームの中にミニチュアの置物と液体が入っていて、逆さにすると雪が降ってくる、あれです。同僚のチャーリーは、クリスって変わった奴だったよな~と思いながら、その小説を読みはじめます。


書かれていたのは、クリスの幼いころの話。似顔絵描きの父ロバート、父の恋人でダンサーのポッピー。二人は大道芸人をしながら、その日暮らしだけど、自分の芸術に誇りを持ち、クリスと一緒に幸せに暮らしていたんですね。


そんな彼らに絡んでくるのが、エックマンという男。彼は米粒以下の極小彫刻をつくることができ、自分のギャラリーを経営し、小金持ち。でも背が低くて、醜くて、親からも疎まれ、孤独で、愛に飢えています。


エックマンはポッピーに恋をするんだけど、相手にされない。次第に彼はロバートが憎くてたまらなくなる。あいつにはポッピーも息子もいるのに、どうして自分には…というわけ。そして…。


この小説はストーリーが面白いので、ネタバレはここまでにしますね。わたしは続きはどうなるの~?と思いながら、グイグイ引き込まれてしまいました。そして最後まで読み終わったとき、また最初のページをめくってしまいました。そういう話なのよ!


愛を語る男

この作品は他にもアイデアや人間模様やいいところがたくさんあると思うんだけど、たぶんいちばんのキモはエックマンというキャラクターじゃないかな。


愛情が欲しいというのは、人間なら誰もが持っている自然な欲求ですよね。でも報われなかったとき、嫉妬したり、お金で愛情を買おうとしたり、どうにか相手を支配しようとしたり、優位に立とうとしたり、人間はとんでもない行動に出る。さらに、そんなことをしてしまった自分を後悔して、こんなことをしていても愛は得られないと気づくんだけど、もう引き返すこともできなかったり。


エックマンはただ愛されたかっただけなのに、どうしてこうなっちゃうのかなあっていう男だと思います。そしてエックマンのようなキャラクターを書くことで、愛を語るってところがいいんですよ~。


この作家さんは読んだことがなくて、たまたま手にとって、読み終えたばかり。なじみの作家さんを読む安心感とはちがって、初めて読む作家さんの作品は宝探しの冒険で、お気に入りが見つかると、やったー!と思います。それでブログに書いてみました。やっぱり本読みは楽しいです。


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