『わらの女』カトリーヌ・アルレー~読書ブログ17

フランス、1956年(昭和31年)

難易度 ★(名訳です! 昔の作品なのに、すらすら読めます!)





完全犯罪ミステリ

名作ミステリです。でも絶版……おばさんは昔の本も読んでいるのです(笑)。興味を持たれたら、探してみてください。ミステリ通の知人も推していたので、面白いと思いますよ!


主人公は戦後貧しい暮らしをしている、34歳のドイツ女性ヒルデガルド。貧乏から抜け出したいと願い、新聞の結婚広告をチェックする毎日。金持ちの奥さん募集があれば応募して、玉の輿に乗りたい!というわけ(今ならネットだけど、昔は新聞でこういう広告があったんですね)。


そしてある日、大富豪の良縁求むという広告を見つけます。やった!とばかりに、さっそく手紙を出してみると、フランスで会いましょうという返事。でも待ち合わせ場所にやって来たのは、大富豪本人ではなく、その秘書。よくよく話を聞いてみると、広告は大富豪が出したものではなくて、秘書がある計画のために出したものでした。


秘書は大富豪に尽くしてきたのに、遺産の分け前が少ないのが不満だったのです。ヒルデガルドが大富豪と結婚できるよう手助けをしてあげるから、財産を相続したら、自分にも分け前をくれないかという話。要は一緒に結婚詐欺をやりませんか?ってことで、広告は詐欺のためのパートナー探しだったんですね。もちろんヒルデガルドはOKして、計画はスタートします。


そして大富豪が登場するんですが、これが人として本ッ当に最低最悪なじいさんです! このじいさんと本当に結婚できるのか?とハラハラしながら、話は進んでいき、どんでん返しが待っています。


悪という真理

プロットも面白いし、人物描写もうまいです。さらに文章は的確でわかりやすく、すらすら読めます(翻訳がすばらしいせいもあるけど)。これだけでも小説としての質は高いと思います。


さらにアルレーと言えば、悪女。悪女を書くのがうまい作家と言われています。わたしは他に『目には目を』も読んだんですが、こちらにも悪女が登場します。本当に性悪女で、こんな女を書く女っていったい……と作者の人格を疑いたくなります。


アルレーって独特だよなあと思うのは、この悪徳のとらえ方です。悪こそ現実的で真理で、善や正義を甘ちゃんだと笑い飛ばす。こういう価値観は物語ではあまり見ないですね。現実では多々あってもね。自分を善人だと思う人は読まないほうがいいかもしれません。わたしはまったく平気でしたけどね(笑) むしろここまで悪いと小気味いい。


今回読書ブログのために読み直して、二度読みすると新しい発見のある作品だなあと思いました。他の作品も読んでみたくなっちゃった。


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