『その女アレックス』~ピエール・ルメートル読書ブログ9

フランス 2011年

難易度 ★★(グイグイ読めます!)



すでに殿堂入り?の面白さです!

翻訳もので、Amazonのレビューが400件を超し、しかも高評価が多いってなかなかない。すでに殿堂入りじゃなかろうか?という作品です。でも文章は細かく書き込むタイプなので、さらっと読めるものではないはず。一気読みさせてくれた、翻訳の橘明美さんに感謝です! 『ミレニアム』同様、わたしが今さら紹介するまでもない人気作ですけど、ちょうど完結編を読み終えたので、やっぱりルメートル好きだなぁと思って、愛をこめて。 


人気シリーズの2作目ですが……

『その女アレックス』はカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの中の1作品。1作目『悲しみのイレーヌ』、2作目『アレックス』、3作目『傷だらけのカミーユ』で完結で、すべてミステリです。日本での翻訳は2→1→3で、わたしはこの順番で読みました。この出版順に批判的な読者も多いみたいだし、わたしもチッと思っているけど、『アレックス』を読んだからこそ、他の2作も読みたくなったんですよね~。出版社はこれを狙っていたにちがいない!


グロいです。

ストーリーはアレックスという女性が路地で誘拐され、監禁されるところから始まります。その監禁シーンがなかなかグロくて、心臓に悪いです。わたしは途中で本を閉じ、深呼吸をしました。ルメートル作品では肉体的にグロいシーンが定番で、見せ場のひとつだと思います。描写が細かいので、グロさも引き立ちます。作者は相当好きなのでしょう。


どんでん返しのストーリー

この作品は3章仕立てなんですが、章ごとにどんでん返しがあります。前の章を別の視点で見たら、まったくちがうものが見えてきたっていう驚き。これがストーリーの面白さだけではなく、作品の奥深さになっていると思います。これ以上はネタバレになるので、控えますね。


その男カミーユ

まず主人公カミーユは文学作品に登場しそうな人物です。低身長145センチで、男性としての自信がなく、コンプレックスを運命づけられ、人生をあきらめているようなところがあります。頭がいいだけにいろいろ考えちゃって、深く悩むのよね~、この人。


また、画家だった亡き母親とのあいだに確執があり、カミーユの哀しさは母親の影響が大きいです。それは本人もわかっているんだけど、母親の面影を追いつづけずにはいられない。彼はものを見るとき、絵を描く習慣があるのですが、もう母親が血肉となっている感じです。そんな彼が女性と関わると、その存在は大きなものになってくるんですね。しかもタイトルを見ればわかるとおり、女性がらみの話ばっかりだから、まあいろいろあるわねぇ。


魅力的なのはカミーユだけではなく、ヴェルーヴェンチームの面々もいい味出しているんですよ! 大金持ちのお坊ちゃんルイ、どケチなアルマン、いつも不機嫌な上司ル・グエン(でもカミーユの親友で、いい人です)。それぞれのしぐさは細かく、せりふはていねいに書かれています。わたしはルイにキャラ萌えして、読んでます(笑) 中年のおばさんにはたまらない可愛さなのよ~!


3冊を順番どおりに読むと、ネタバレなく全部楽しめます。興味のある方はどうぞ。もちろん『アレックス』だけでも楽しいです。


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