『モーム短篇選(上)』サマセット・モーム~読書ブログ8

イギリス、1920~30年代(日本では1926年から大正時代が始まりました)

難易度 ★(モーム自身が、「明瞭、簡潔、音の良い文章を目指した」と言っているし、行方昭夫さんの訳は名訳だと思います)




最近モームの新訳本が次々に出版されているんですよね。ブームなのかな? ファンとしては嬉しいです。


短編、長編、戯曲なんでもいける!

モームの代表作は『月と六ペンス』だけど、個人的には『人間の絆』がいちばん好き。でも読書ブログでご紹介するには長すぎるので、短編を取り上げることにしました。短編でいちばん有名なのは『雨・赤毛』だけど、訳が古いので読みにくいかもなぁと思い、『モーム短篇選(上)』。べつに『ジゴロとジゴレット』でも『英国諜報員アシェンデン』でもよかったんだけど。だってモームの場合、何を紹介してもいいんですよ。長編も短編も戯曲も、だいたい何を読んでも面白いから。


「人生に意味なんてない」

ところで『サミング・アップ』というモームの回想エッセイがあります。これだけはファンでないなら読んでもあまり面白くないだろうと思う作品だけど、ここにモームの人生観や創作の秘密が書かれています。


この中でモームは過去に「人生の意味を求めていた」と書いています。でも宗教に幻滅し(牧師たちが教会で教えていることを自ら実践していないから)、哲学を研究したが答を得られず(自分にとっては些細なことを長々と議論しているだけだから)、結局「人生に意味なんかない」という結論にたどり着いたそうです(笑)。


わたしがモームを好きだなぁと思うのは、ここで、「どうせ意味なんかないんだから、何をやってもムダさ」と投げやりにならず、「どうせ意味なんかないんだから、自分の楽しみと必要を満たすために生きればよい」と前向きに開き直っているところ。紆余曲折の末、シンプルな答に落ち着いたもんだけど、この悩んだ時期が作品の厚みになったんだろうなぁ。


さて、『モーム短篇選(上)』の1本目『エドワード・バーナードの転落』では、他人にどう思われようと自分の幸せのために生きればいいよ、ということが、皮肉交じりに書かれています。モームらしい作品だと思います。


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