『そして、ぼくの旅はつづく』サイモン・フレンチ~読書ブログ3

オーストラリア、2002年

難易度 ★(児童文学だから、読みやすいです。字も大きいし、老眼の人には特におすすめ💛)


↑ Amazonでリンクできませんでした。なんで?


児童文学の定義

児童文学とは、「主人公が子どもか動物であること」と聞いたことがあります。じゃあ単純に、児童文学=子ども向けの本というわけじゃないのね、とそのとき思いました。


児童文学ってけっこうおもしろいんですよ! 子ども向けの、大人が読むともの足りない作品はたしかに多い。でも、中には「これ、子どもに読ませてもいいのか?」「子どもがこの内容を理解できるのか?」なんて本に遭遇することがあります。これは大人にはめっけもん! 


構成のよさ

さて、『そして、ぼくの旅はつづく』。この作品はまず構成がおもしろいんですよ~。


主人公の少年アリは11歳、ドイツ生まれ。3年前、母親と旅行で訪れたオーストラリアに移住し、今は新しい父親も一緒に生活しています。アリは「ここの生活、気に入ってます――楽しいです」と言うんだけど、冷めた言葉からは楽しそうな感じが伝わってこない。その後、過去と現在を行ったり来たりして、なぜアリが心を閉ざしているのかがわかってくるんですけどね。時系列順にきちんと並べたら、感動半減だったろうなあという構成になっています。


子どもの視点、大人の価値観

この作品の主人公はたしかに11歳の少年なんだけど、ひとつひとつのエピソードは経験を積んだ大人が味わえるものだと思います。


旅をすること。料理と会話。新しい人や土地との出会い。別れと思い出。そういうものをひっくるめて、人生なんだと教えてくれます。


音楽が特に重要なモチーフとして登場します。アリは天才的な音楽の才能を持った少年なのね。でも作者は才能うんぬんよりも、音楽は、人と人とをつなぐもの、人生の新しい扉を開いてくれるもの、人を幸福にするものとして描いていると思います。


登場人物は善悪で区別されていません。悪人は登場しないんです。相手を大切に思うから、怒ったり、悩んだり、悲しんだりする。それもやっぱり、人生。


この価値観を子どもが理解できるのか? 少なくとも子どものわたしだったら、この本の良さは理解できなかったと思うのよね~。それって児童文学としてはどうなの?とも思うけど、主人公が子どもだから成り立った作品でもあるし。こういう本は大人の中にいる、かつての子ども向けに書かれているような気がするなあ。うーん、複雑! この作品については、定義なんてどうでもいいから、とにかく読んで!って言いたいです。


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